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明日の株式相場に向けて=米中摩擦で奏でる半導体狂騒曲 11月16日17時00分

 きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比31円高の2万9808円と小幅ながら4日続伸。とはいえ値下がり銘柄数の方が大分多く、日本時間の今夜午後10時半に発表される10月の米小売売上高などの経済指標待ちで、やや腰が引けた感じの相場となった。ただし、売買代金首位のレーザーテック<6920.T>が最高値街道で気を吐いたほか、アナログ電源ICメーカーでパワー半導体関連であるトレックス・セミコンダクター<6616.T>が業績増額を受けストップ高に買われるなど、引き続き半導体セクターへの投資資金の流れ込み方は半端ではない。

 半導体関連株はこれまで市況関連の切り口で語られてきた。例えば、半導体の需給逼迫が盛んに言われるなかにあっても、DRAM価格が下落基調に転じれば、それは最終需要が落ちているのではないかという疑念が生じる。シリコンサイクルの呪縛である。10月中下旬に東京エレクトロン<8035.T>やレーザーテックなど半導体主力株の値動きが重くなったのは、そうしたネガティブな思惑が重石となった。この時期は、米国でも半導体セクターに対する強弱感が対立し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も中段で不安定な動きをみせていた。

 しかし、11月に入ってからSOX指数は一気に上放れ最高値圏に浮上、東京市場でもこれに引っ張られ、東京エレクトロンやレーザーテック、ディスコ<6146.T>、アドバンテスト<6857.T>、SCREENホールディングス<7735.T>といった半導体製造装置大手メーカーが上値を慕う展開となった。

 これまでのような市況関連としての切り口ではなく、経済安全保障の観点から半導体の重要性が増している。少なくともマーケットはそう認識した。半導体受託製造の世界最大手TSMC<TSM>の日本誘致は、米中の半導体覇権を巡る争いが咲かせた花であるとの見方がある。TSMCが汎用性の高い半導体の工場を約8000億円規模で熊本県に建設するが、それには政府が数千億円の補助金を活用して資金的支援を行うことが伝わっている。

 これについて市場関係者は「国を挙げてのプロジェクトだが、その後ろには米国の存在が大きい。『中国製造2025』で半導体の自給率引き上げ躍起となる中国に対抗し、アジアで同盟国の日本に製造拠点を確保しておきたい米国の思惑が、今回の動きにつながった」(ネット証券アナリスト)という。とするならば、最先端半導体の生産設備確立や、既存の半導体工場の刷新といった動きが今後は“対中国”という政治的な構図のなかで加速する。そしてこれは半導体業界再編の流れにも合流する可能性がある。

 半導体製造装置メーカーでニッチトップともいえる高い技術力を持つ中小型株は株価の見直しが急速に進む可能性が出ている。当欄でも継続的に追ってきたタカトリ<6338.T>がここにきて急騰しているが、これは前週末12日の決算発表を好感したのはもちろん、同社のパワー半導体向けスライス・ワイヤソーの高い商品技術力に目をつけた買いも含まれている公算は大きい。また、長野計器<7715.T>は水素関連の切り口で何度か取り上げてきたが、元来、同社の圧力計や圧力センサーは半導体業界が主要納入先のひとつであり、ここにきての買われ方は半導体関連としての側面に光が当たっているようにも見える。

 この流れで新たに目を配っておきたいのがオリジン<6513.T>。同社は半導体装置向けに電源を手掛けており、どこかで頭角を現しそうだ。また、藤倉コンポジット<5121.T>も制御機器部門は旺盛な半導体設備投資が追い風となっており、引き続き注目となる。このほか半導体需要とも連動する電子部品株では、5G投資の追い風が強まっている水晶デバイスメーカーにマーケットの関心が向かっている。半導体の製造プロセスで使われるフォトリソグラフィー技術で先駆し、電子ビーム封止工法などオンリーワン技術を持つリバーエレテック<6666.T>もマークしたい。

 あすのスケジュールでは、10月の貿易統計、9月の機械受注が朝方取引開始前に発表される。このほか10月の主要コンビニエンスストア売上高など。海外では10月の英消費者物価指数(CPI)、10月の米住宅着工件数などが予定される。なお、米国ではエヌビディア<NVDA>の8~10月決算にマーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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