英語コンプレックスを解消せよ
日本国民の英語コンプレックスはいつになったら解消されるのか。
最も解消されてしまうと巷に溢れる怪しげな"英会話学校"は倒産の憂き目に遭うかもしれないが。
文部科学省は10月になって恐る恐る小学校の英語教育の開始時期を現行の5年生から3年生に引き下げ、5年生からは正式な教科にする方針を決めたという。もっとも"方針を決めた"というのはお役所用語だから、すぐに実施されるわけではない。一応、2020年度を"めど"に全面実施を"目指す"ことになっている。そりゃそうだろう。ちゃんと教えられる教員の数が足りないのだ。出来ない人間に教えてもらうほど不幸な事はない。パープレーで回れないゴルファーにゴルフを習うようなものだ。
日本は人口のほとんどが日本語しか使わず外国語を特に修得しなくても生活に困らない国だ。しかし、社会・経済のグローバル化が進み、人口減少に歯止めをかけるために移民がワンサカやってくるようになるとそうはいかなくなる。海外で働く日本人ももっと増えるだろう。ビジネスや生活での意思疎通に英語が欠かせない存在になるのだ。幼い頃から外国語を学んだからといて母国語がおろそかになったり、愛国心が消滅することはない。そのことはスイスやベルギーなどヨーロッパ諸国の子供たちをみればわかる。お隣の韓国では「英語幼稚園」と呼ばれる幼稚園が大人気で、中には授業料が年間100万円以上と大学の授業料より高いところもあるそうだ。とくに富裕層は教育熱心だ。背景には親の世代の英語コンプレックスがあるという。別の見方をすれば、グローバル化によって英語でのコミュニケーション能力が当然のごとく求められる時代に入ったということだ。
英語が出来ても馬鹿は馬鹿と開き直るよりも、英語コンプレックスを解消できる教育を実施したほうが若者の将来は明るい。
蟹瀬 誠一(かにせ せいいち)プロフィール
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ジャーナリスト・キャスター、明治大学国際日本学教授
(株)アバージェンス取締役、(株)ケイ・アソシエイツ取締役副社長
掲載日:2013年11月5日