花粉症には早めの対策を
2014年の初めの話題は「花粉症」です。ある調査によるとスギ花粉症の有病率は全国で30%にせまると報告されており、まさにこれは「国民病」と言っても過言ではありません。
昨年末に日本気象協会が発表した2014年の花粉飛散数予測によると、北海道と東海から九州地方にかけては例年並みかやや多め、東北と関東甲信越、北陸は例年より少ない見込みになっています。しかし、年々患者数が増加している上に、若年化も進んでおり、最近では10歳未満の子どもにも花粉症の症状が認められるようになってきました。今年は、2月上旬には九州や東海地方から花粉の飛散が始まると予測されていますので、早めの対策が必要です。
「早めの花粉症予防対策」が重要なのには理由があります。花粉症の症状が起こり始めたごく初期では、鼻粘膜にまだ炎症が進んでおらず、この時期に治療を開始すると粘膜の炎症の進行を止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができるからです。これは火事でいうと、「ぼやのうちに消し止めることができれば、被害は最小限でくいとどめられる」と例えることができます。
ところが、症状が重症化してしまうと、医薬品(内服薬・点眼薬・点鼻薬)に頼ることになり、それに伴う副作用(代表的なものは眠気など)も生じます。火事でいうと、火が一旦燃え広がってしまうと、それを消すためには大掛かりな消防活動が必要になるのと同じといえます。
早めの対策には、薬を飲むことも方法の一つですが、アレルギー反応を抑える上で「腸内環境」を整えることも実は重要です。「花粉症」と「腸内環境」、一見関係なさそうに思えますが、腸は「腸管免疫系」といわれる独自の免疫システムを持ちます。たんぱく質が完全に分解されない状態で吸収されると、体は「異物」として認識し、過剰な免疫反応を起こしてしまいます。この免疫システムは体の粘膜免疫系と関係があり、腸粘膜の環境が悪くなると、目や鼻の粘膜の免疫まで連動して刺激を受けやすい状態になり、花粉症が悪化する要因になってしまうのです。腸内環境を整える方法については、以前書いた9月20日のコラム「腸を制するものは健康を制す」でも説明していますが、おさらいです。
【腸内環境を整える方法】
① 乳酸菌を摂る:腸内の善玉菌の主役です。
② 食物繊維が豊富な食品を食べる:腸内のお掃除役をしてくれます。
例)大豆・豆類・根菜類・海藻類・こんにゃく・寒天など
③ 過剰な糖分や油脂を避ける:精製糖(白砂糖)や過剰な油は悪玉菌のエサとなります。
④ オリゴ糖を摂る:善玉菌のエサとなります。
⑤ 水分を摂る。
⑥ よく噛んで食べる。
また、抗炎症、抗アレルギー作用などが期待できる成分を配合したサプリメントで予防をするという方法もお薦めです。お薦めの栄養素(サプリメント)は、ビタミンD、オメガ3脂肪酸、乳酸菌、アスタキサンチンです。
今から花粉に備え、ご自分でできるセルフケア行動をしっかりととり、今年は清々しい春にしたいですね。
澤登 雅一(さわのぼり まさかず)プロフィール
過去コラム一覧
三番町ごきげんクリニック 院長
1992年、東京慈恵会医科大学卒業後、血液内科医として日本赤十字社医療センターで主に白血病や悪性リンパ腫などの血液がんの臨床に従事。2005年より三番町ごきげんクリニック院長。病気を診る立場から、病気にならないことの重要性を痛感し、アンチエイジング医療を実践するとともに、ライフワークとしてがんの治療に力を注いでいる。
医学博士
東海大学医学部 血液・腫瘍内科非常勤講師
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授
日本抗加齢医学会専門医・評議員
日本内科学会総合内科専門医
日本血液学会専門医
米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医
日本がん治療認定機構 がん治療認定医
エピジェネティック療法研究会代表幹事
著書:
『細胞から「毒」が逃げ出す生き方~キレーション身体革命~』(講談社)
『ビタミンCはガンに効く』(ディスカヴァー)
『人より20歳若く見えて、20年長く生きる!』(ディスカヴァー)
掲載日:2014年1月23日